八郎だ(Twitter:@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝だ。
この物語は注文住宅について何の知識も無い夫婦が
思い立って注文住宅を建てようとしたら
どうなったのかを描いた「フィクション」だ。
良かったら立ち寄っていただきたい。
前回のあらすじ。
家づくりの資金援助をお願いするために
実家に赴くことにした俺。
しかし、実家には認知症が進行している
父の信じられない姿を目の当たりにする事になる。
更には、3年前にまだオヤジの意識がはっきりしている時に
書かれた「終活ノート」なるものが出てくる始末。
オヤジに残された時間は残り少ないかもしれないと
思わずにはいられない展開に
少なからず動揺する俺。
これは。。。マイホーム、とか
言っている場合ではないのではないか。
ちなみに最初からこの話を読んでみたい
という奇特な方にはこちらのリンクを紹介しよう。
それでは、今日も俺の家の話を始めよう。
遺産の行方
オフクロ「実はお父さん、3年くらい前から(終活ノートを)3か月くらいかけて毎日書き続けたものなの」
八郎「見ても、いいの?」
オフクロ「ええ。。。本当は俺が死ぬまで見せるな、って言われたんだけど」
オフクロ「最近のお父さんの状態を見ていると。。。あななたちも知っておいた方がいいかな、って思って」
八郎「そうなのか。。。」
弟「俺はもう全部見たから、アニキ独占して読んでもらっていいよ」
八郎「わかった」
テーブルの上に出された、オヤジの直筆の
終活ノートを手に取る。
オヤジの字はなかなか個性的な字、というか
まあぶっちゃげると「ヘタ」な訳だが
そのヘタな字に輪をかけてヘタになっていた。
もうなんか電車みたいな揺れる場所で書かれたような
手振れ感がすごい。
オフクロ「。。。もう、その時は結構脳梗塞が数回起きていて」
オフクロ「手が不自由になってたのよね、だから書き上げるのに3か月もかかって。。。」
なるほど、そうだったのか。
オヤジの文字を改めてディスったことを反省しつつ
とりあえず、表紙を捲った。
そして、見開きのページの右側に
いきなり衝撃の文言が綴られていた。
終活ノート「私の遺産は、すべて配偶者のオフクロに『譲渡』してほしい。八郎、弟、お前らなら俺の気持ちはわかってくれるよな」
資金提供は望めない状況に
あまりに衝撃的な文言に、意識が海王星にまで飛びそうになった。
いやいやいやいや、別に遺産相続なんてどうでもいいと俺は思ってた。
家づくりなんか考えてなければ
オヤジの意見に全面賛成。
オフクロよ、余生をオヤジが稼いだ金で楽しんでくれ
という気持ちしかない。
だがしかし!
今日だけは違った。
俺は、家づくりの資金提供を頼みにここに来た。
しかし、この流れ、終活ノートのこの文言
とても資金提供を頼めるような状態ではない
俺の中では家づくりは終わった。
そう思えた瞬間でもあった。
オフクロ「。。。八郎?」
八郎「えっ?あー、はいはい」
オフクロ「やっぱり、遺産譲渡はイヤ?」
八郎「あっ、あー、いや全然、オヤジの言うとおりだよ、賛成、賛成」
弟「アニキ、オヤジの介護から逃げ回ってろくに手伝いもしていないからな」
弟「これで、遺産相続の時だけ権利を主張し始めたら、俺マジでアニキ殺すところだったよ」
八郎「そ、そんなこと言う訳ないだろ。( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」
弟のクソみたいなくさびも打ち込まれ
ついに俺は資金提供の依頼をする場を失った。
ちなみにその後のオヤジの終活ノートのページは
生命保険の保険証券の保管場所
保険会社の名前や
貯金している銀行・銀行口座名・暗証番号等
本当に遺産絡みの事がびっしりと書かれていたが
裏を返せば、それ以外の事については
何も記載されてはいなかった。
オヤジは自分の記憶が確かなうちに
資産に関する情報を全て書き出してオフクロに引き継ぎ
自分亡き後のオフクロに不自由なく生活してもらいたい
というオヤジの気持ちが詰まったノートだったという事を
息子ふたりは痛感するのであった。
家づくり、妥協するか、諦めるか
オヤジの変貌ぶりと終活ノートに圧倒されて
俺の本来の目的を1ミリも果たせないまま
家路につく俺。
オフクロは俺に何も言われなかったが
弟からは「ちゃんとオヤジの面倒を見ろ、長男だろ!?」
というセイロンティーを後ろから浴びせられ
いよいよお願いをするタイミングを逸した感はあった。
その夜。
実家であったことを嫁に報告すると
嫁「そんなことがあっても『お金が』とか言ってたら人として終わってるよ」
と、あっけらかんと言われてしまった。
確かに人として終わってるのはその通りなんだが。
まごまごしていると家づくりまで終わってしまいそうので
そこが悩みのタネでもある。
嫁「私、そこまでしてマイホーム建てようって思わないよ、だから」
嫁「妥協できそうなところは妥協するか、どうしても妥協できないポイントを妥協しろって言われたら」
嫁「その時はすっぱり諦めるから、それでいいよ」
嫁「それより、実家に行く頻度を増やそう。八郎ちゃん、ちゃんとお義父さん看た方がいいよ」
嫁もそんな状況を察してか、押してくることも
マイホームを妥協する事を悲しがることも一切なく
ひとりのまっとうな人間の対応をしてくれた。
しかし、そんな嫁の大人の対応に、俺は悶々としてしまう。
嫁の夢はオヤジがオフクロに遺産譲渡しろ
という終活ノートのくだりで諦めないといけないのか。
別に、相続権を主張するような、身内で泥沼の争いなんて
絶対したくないけど、ここで何も言わなければ
そこで家づくりは終了しそうな気がする。
そもそも、嫁は妥協できるところは妥協、と言ったが
その可能性が低い事はハウスメーカー4社回って明確になった。
どうしても立地は妥協したくないのだ。
立地で妥協するくらいなら賃貸でもいい
くらいの勢いである。
そして、嫁は『注文住宅』に恋焦がれていた。
嫁にはこだわりがあるのだ。
その「立地」と「注文住宅」の両方をかなえようとすると
3500万円では厳しい、と言うのがハウスメーカー4社回った結論だ。
家づくり、諦めるしかないのか。。。
その結論にしか行きつくことが出来ない俺。しかし
●●先生「あきらめたらそこで家づくり終了ですよ。。。?」
という某バスケマンガの恰幅の良い顧問のセリフが
頭をよぎる。後から
八郎「●●先生!!家づくりがしたいです。。。」
と膝から崩れ落ちて後悔する俺がいるんじゃないか。
そんなモヤモヤする気持ちが拭えないまま
気が付いたら、ベッドの中でもモヤモヤしたままの俺だった。
俺の新しい家の話、今日はここまで。
次回予告
オヤジの遺産は全額オフクロへ。
そんなオヤジの終活ノートを見て
資金援助の話が切り出せずに実家を後にする俺。
しかし、ここで家づくりを諦めると
本当にもう家づくりは出来ないような気がしてしまう。
どちらを選んでも後悔しかなさそうな選択肢しかない
俺が取った選択とは。
お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな!
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このブログはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。尚、どこかで聞いたことあるような話もあるかもしれませんが、全て筆者の作り話ですので現実になぞらえて考えないようにお願いします。読んで気分が悪くなる方は読むのをお控えください。