八郎だ(Twitter:@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝だ。
この物語は注文住宅について何の知識も無い夫婦が
思い立って注文住宅を建てようとしたら
どうなったのかを描いた「フィクション」だ。
良かったら立ち寄っていただきたい。
前回のあらすじ。
俺が検討している分譲地の1部が
「土石流警戒区域」
に入っている事が判明。
その件について、ハウスメーカーに問い合わせると
1社のエイシンホームからは理解に苦しむ回答が来たので
真意を確かめに分譲地の自治体に
ハザードマップの意味や、エイシンホームの営業の
発言の真意を確認しに市役所を訪れることにした。
危険対策室、危険対策課。
自治体のハザードマップの管理などもしている部署に案内されると
ひとりの男性がカウンターに近寄る。
どうやら、この人が担当のようだ。
エイシンホームの営業は本当なのか?
そしてZ市●●地区の分譲地に建てても本当に大丈夫なのか?
担当の人から語られる言葉とは?
ちなみに最初からこの話を読んでみたい
という奇特な方にはこちらのリンクを紹介しよう。
それでは、今日も俺の家の話を始めよう。
調整池と土砂災害の関係は
市役所担当「それで、八郎さまから大きく3つの質問をいただきましたが」
市役所担当「話の流れの上から、まずは、2番目の」
市役所担当「『調整池』の存在が土砂災害の『危険性の削減につながるか』」
市役所担当「と言う話から、ご説明したいと思います」
八郎「はい。。。」
市役所担当「結論から申し上げますと、調整池があるからと言って」
市役所担当「土砂災害の危険性が減る可能性があるかと言うと。。。」
八郎「。。。」
市役所担当「その可能性はまずないと言ってよいでしょう」
八郎「(やっぱり。。。)」
市役所担当「あくまで、調整池というのは山間の土地などを開発すると」
市役所担当「今まで、地面で吸水できていた雨水が、吸水できず」
市役所担当「大量の雨水が斜面を流れてしまうことがあるんです」
八郎「(コクコク)」
市役所担当「地面に吸水できずに流れる雨水を一時的に貯め込んで」
市役所担当「河川に大量に短時間に流れ込まないようにコントロールするためにあるのが調整池なんですよ」
八郎「なるほどですね(なんとなく知ってたけど)」
市役所担当「渓流などに『砂防堰堤(さぼうえんてい)』」を設置して土石流を防ぐことはありますが」
市役所担当「調整池が土石流の危険性を減らすために作られている訳ではないので」
市役所担当「『調整池がある』→『土石流の危険性が減る』にはなり得ないと言ってよいでしょう」
やはり、エイシンホームの営業の発言が適当だった。
調整家は土石流の危険性を緩和するものではないと言えるだろう。
(※河川の氾濫を防ぐ、という意味では調整池が土石流の危険性を緩和する『間接的な』要素にはなるかもしれないが、あくまで広義的な意味であり、分譲地の調整池がその分譲地内の土石流の危険性を緩和する要因には直接的にはなり得ない、と言えるだろう)
ハザードマップは「危険」か「危険ではない」かを表示するものではない
八郎「調整池の役割と土石流の危険性との関係はよくわかりました」
市役所担当「次に『土石流危険区域』に指定されている分譲地に」
市役所担当「マイホームを建てることは大丈夫なのか?という事についてですが」
八郎「(コクコク)」
これはかなりの人たちが気になっている事だろう。
何せ「危険区域」という設定になっているわけだ。
ノーリスクという訳にはいかないだろう。
ハザードマップを我々はどうとらえたらよいのか?
その点も非常に気になるところだ。
市役所担当「2014年8月20日に広島市では集中豪雨による大規模な土石流とがけ崩れが起き」
市役所担当「甚大な被害が発生しました。この災害より土砂災害防止法が改正・施行されました」
市役所担当「この第 8 条第 3 項に基づき、ハザードマップを市町村が作成する事となり」
市役所担当「自治体が作成・公表しているのが現在の土砂災害のハザードマップになります」
八郎「(コクコク)」
市役所担当「このハザードマップは、過去の災害状況や、地形(土地の傾斜方向や傾斜角度など)や土質などをコンピューターにインプットして」
市役所担当「土砂災害が起こる危険性をシミュレーションしたものです」
市役所担当「ただ、あくまでも現状わかり得る全ての情報を入力した上での」
市役所担当「土砂災害、つまり土石流や土砂崩れなどの危険性が予測しうる地域に表示をしている区分であり」
市役所担当「危険区域になっている地域が『危険』でそうでない区域は『危険じゃない=安全』という見方をしてほしい訳ではない、という事を理解していただきたいです」
八郎「なるほど、ですが素人的には『マップに記載がある=危険』『マップに記載がない=安全』と見てしまいがちですが」
市役所担当「おっしゃられている事はわからなくはないですが、あくまで危険の『可能性』の話であるので」
市役所担当「ゼロかイチかの『デジタル』的な見方はしてほしくないんです」
あくまで「可能性」を可視化したもの
八郎「そうすれば、我々はハザードマップをどのように見て、自分が建てようとするマイホームに活かしたらよいですか?」
市役所担当「まず『土砂災害警戒区域』に家を建ててはいけない、という決まりはありません」
市役所担当「あくまで、建てるか建てないかは『土地所有者の判断』となります」
市役所担当「先ほども申し上げましたように、ハザードマップは『災害の危険性の可視化』であって」
市役所担当「災害が起こるか怒らないかをゼロかイチかでデジタル表示している訳ではありません」
市役所担当「よって『土砂災害警戒区域』内でも土砂災害が起こらない事だって十分ありますし」
市役所担当「ハザードマップには警戒区域に指定されていない場所でも『土砂災害』が起こる可能性は実はあります」
市役所担当「たとえば『地震だけ』とか『大雨だけ』であれば土砂災害が起きないとしても」
市役所担当「『地震』の後に『大雨』が来てしまうと、地震で地盤が緩んだ瞬間に」
市役所担当「大雨がその土地を襲う事で予想外の土砂災害が起こる可能性もあります」
市役所担当「そのようないわゆる「稀な可能性」までは計算されていないので」
市役所担当「記載されてない地域は『安全だ』とは言いきれない事を理解してほしいです」
八郎「なるほど。。。ありがとうございます」
市役所担当の説明を最初受けた時、何となく釈然としなかった。
我々マイホームを建てようとしている人間が知りたいことは
「その土地はマイホームを建てても大丈夫なのか?安全なのか?」
という事なのに「可能性の可視化」だの「デジタルで判断してほしくない」だの
逃げ口上のようにも感じられた。
しかし、市役所を離れ帰りの運転中に気が付いたことは
「誰も災害なんて予想は出来ない」というごく当たり前の事。
もしこれが事前にわかる事が出来たのであれば
自然災害での被害者や死者を極限まで減らす事が出来る。
しかし、現代の社会においては、いや未来永劫かもしれないが
どれだけ科学や気象予報の技術が進歩したとしても
自然災害を『予知』する事は不可能なのかもしれない。
そうすると、我々が自然災害を避けるために出来ることと言えば
「君子、危うきに近寄らず」という事なのだろう。
通常よりも少しでもリスクが高い場所には手を出さない、という事だ。
だから土地が安い、と考えることもできる。
俺たちはZ市●●地区の分譲地を、諦めることに決めた。
俺の新しい家の話、今日はここまで。
次回予告
結論、Z市●●地区の分譲地を諦めることにした八郎。
諦めると決めたら、ハウスメーカーにはお断りの連絡を
入れるのが筋な訳だが。
まさかのハウスメーカー社長登場?
社長が登場したら、まだ諦めるのは早いのか!?
次回「諦めようとしたら、ハウスメーカーの社長登場?諦めるのはまだ早い?」
お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな!
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このブログはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。尚、どこかで聞いたことあるような話もあるかもしれませんが、全て筆者の作り話ですので現実になぞらえて考えないようにお願いします。読んで気分が悪くなる方は読むのをお控えください。