八郎だ(Twitter:@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝する。
前回までのあらすじ。
正月に実家に俺の家族と弟が大集合。
オヤジの衰えぶりに唖然とする俺に
白い目を向ける弟。
そして正月早々、弟から
「話がある」
と切り出され、実家の近くに
流れている川辺に向かい
弟の話を聞くことに。
何となく、弟から正月早々説教をされそうな気がするのは
空気でわかるのだが
話はそれだけで終わるのだろうか?
それでは、今日も俺の新しい家の話を、始めるとしよう。
Contents
正月早々、川辺にて
コンビニで思い思いの飲み物を購入した後
実家の近くを流れる川辺に移動。
寒いのでホットコーヒーを買ったが
移動の間に随分冷えてしまっている。
川辺に移動すると、年始と言うのに
結構人がいて、ランニングしている人や
親子連れ、老夫婦など
いろいろな人が思い思いの時間を川辺で過ごしている。
そんな中に、ムサイ40前後のおっさんがふたり。。。
見る人が見れば、正月早々おっさんが雁首揃えて。。。
今年もお宅らはツイてないよ、きっと。。。
と言われそうな顔ぶれである。
八郎「さみい(寒い)から、手短に話せよ」
人肌の程に温くなったコーヒーを飲みながら弟に言い放つ。
弟「わかった、じゃあ、手短に話す」
八郎「。。。」
弟「もっと、実家の事を顧みろよ」
うわ、来た。
手短に話せと言ったら、本当に藤川球児バリの
火の玉ストレートに来た。
しかも一番突かれたくない所だ。
とりあえず事実なので、謝っておこう。
八郎「それは。。。すまなかった。今年は頑張るよ」
弟「今年の抱負なんか聞いてねえよ!」
ちょっと茶化したつもりが
どうやら火をつけてしまったらしい。
俺もこうして、選択を誤る事が多々ある。
八郎「ワリい、場を和ます場合じゃなかったな」
八郎「お前にばかり負担をかけてすまなかったな」
弟「」
謝るといきなり無言になる弟。
あら、謝り方を間違えたのか?
弟の指摘
弟「。。。俺の事はどうでもいいんだよ」
八郎「え?」
弟「お前、オヤジやオフクロの事は考えてねえのかよっ!」
八郎「」
弟が激高する。
周囲の視線を総取りする程
その声は鬼気迫っていた。
正月から面白そうなものが見れそうだと
そのまま遠慮なく
不躾な視線を投げかけたままの者もいる。
八郎「あ、皆さんすみません、移動しますので」
弟「おいっ!アニキっ!!」
八郎「いいから、移動しながら落ち着いて話すぞ、とりあえず流れる川の様子でも見て落ち着け」
この場で話してもお互いエキサイトするだけだと思い
歩きながら話をして、意識が話だけに集中しないよう
策を取る事にしてみた。
八郎「オヤジとオフクロの事ってどういうことだ?」
もう冷たくなってしまったコーヒーの
蓋を外して飲み干して
弟にその真意を聞いてみる。
ここからは俺と弟の会話を
ノンストップでお楽しみいただきたい。
弟「仕事が忙しいとか、家族の事で(実家から足が遠のいている)とか言っているけど」
弟「本当はもっと実家に顔出せるだろ?」
八郎「。。。まあ。でも忙しかったのは事実だ」
弟「ぶっちゃげ、オヤジの介護に関して言わせてもらえれば」
弟「介護のヤル気の無いヤツが来ても事故の元だから」
弟「別に来たくないなら、来なくていいって俺は思ってる」
八郎「。。。」
弟「でもさ。。。オヤジがたまに言うんだよ」
八郎「なんて?」
弟「『八郎はどうしてるか?』って」
八郎「。。。」
弟「一生懸命介護してるのは俺なのに。。。アニキはほとんど顔を出さないのに」
弟「なんで、オヤジはアニキの事を気にするんだよ!」
八郎「。。。」
弟「オフクロもしんどそうなんだよ」
八郎「。。。なにが?」
弟「色々(介護への思いを)ため込んでるんだけど、たぶん俺には愚痴言わないんだよな」
八郎「そうなのか?」
弟「俺に気を使っているのかもしれないけど」
弟「俺とオフクロはそもそも合わないし」
弟「アニキの方がオフクロとは合うからさ」
弟「たまにはオフクロに電話してやってくれよ」
八郎「。。。」
弟「忙しくても、夜10分くらい電話出来るだろ?」
八郎「。。。そうだな」
弟「なんで俺がこんなこと言わなきゃならんの?」
八郎「。。。」
弟「アニキがちゃんとオヤジの顔見に来たり、オフクロに電話してくれてりゃ」
弟「俺がいろいろ気を回さなくてもうまく行くんだからさ」
弟「長男だろ?もっとちゃんとしてくれよ」
八郎「。。。すまん」
正月から打ちのめされた。
弟の言うとおりだった。
顔が出せないなら電話くらいするべきだ。
オヤジを見たくないから、と言って
介護から目を背ける、のはお門違いである。
どちらが年上なのか。。。
アニキと言う言葉が人の名前になっていたら
恐らく俺が年下設定になっているだろう。
しかし、俺も弟に聞きたい事がある。
みんなの前では聞き辛かったが
ふたりになったのでかえって好都合だ。
弟の動揺
八郎「俺も、お前に聞きたい事がある」
弟「何だよ。。。」
八郎「お前、弟嫁ちゃんはどうした?」
弟「」
弟が微かに動揺する姿を
確実に見る事が出来た。
弟「。。。webデザイナーに盆も正月も無いんだよ」
八郎「へえ、そうなんだ」
弟「不定期に忙しい職業なんだよ」
八郎「そうか。。。」
毎年、弟嫁ちゃん、来ていたじゃないか?
と聞こうとしたが止めた。
あの一瞬の硬直がその状況を
雄弁に物語っているような気がした。
しかし、それを根掘り葉掘り聞く必要も無ければ
正直興味も無い。ただ今まで顔を出していたのに
今年来ていない理由を聞きたかっただけだ。
弟「。。。長引くと色々詮索されるから帰るぞ」
八郎「。。。ああ」
帰りは弟の後ろを歩く俺。
いつまで続くかわからない介護だが
言い方は悪いが、その内終わりも来る。
その時の為にも、介護を直接できないにしても
介護には関わらないといけない
その時はそう反省した。
そう、この時は。
そして、その時、弟は俺と同じくらい
悲壮感漂う顔をしていたことを
俺はこの時はまだ、知らなかった。
オヤジの話で。。。
オフクロ「ふたりともどこ行ってたのー」
実家に帰るとさすがにコンビニ往復にしては
時間がかかり過ぎたのかオフクロが突っ込んできた。
弟「。。。アニキとちょっと積もる話を。。。な」
八郎「お、おう」
オフクロ「そんなこと言って、ラーメンでも食べてきたんじゃないの?」
弟「バレたか(笑)」
弟が上手にカバーして、場が暗くなることはならなかったが
俺のテンションは下がったままだ。
そんな俺のテンションを知ってか知らずか
オフクロはオヤジの話をし始めた。
オフクロ「お父さん、だいぶん悪くなってね」
嫁「ええ、そうなんですか。。。」
オフクロ「まず、食べなくなったよね」
嫁「。。。そうなんですか」
オフクロ「寒くなってからかなあ、食べる量落ちちゃって」
八郎「和菓子とかは食べないの?」
オヤジはあんな風貌だが、実は甘いもの好きだ。
特に和菓子は好物で、以前実家に帰るときに買っていくと
喜んでパクついていた。
弟「もう昔と違うんだよ、そんなもん食わせて誤嚥性肺炎でも起こしたらどうするんだよ」
八郎「そうか。。。」
更に感じる疎外感。
関わっていないとこうも浦島太郎になってしまうのか。
でも、因果応報、自業自得である。
こうしてオヤジはだんだん悪くなってきている
弱ってきている、と言う話を
エピソードを交えながら教えてもらった。
気が付けば日も沈み、辺りも暗くなっていた。
八郎「長居して悪かった、また来るよ」
オフクロ「。。。いつでもいらっしゃい」
弟の言葉を一瞬、思い出す。
八郎「。。。ああ」
短い返事をして実家を後にした。
帰りの車中。
嫁「八郎ちゃん、弟君と何話したの?」
八郎「ああ、近況を語り合っていたんだよ」
嫁「。。。ウソ、ふたりとも眉間にしわ寄せて帰って来たよ」
八郎「そうか。。。」
ここはウソついても仕方ないな。
半分は本当の事を言おうと思った。
八郎「もっとオヤジの顔を見に来い。忙しくてもオフクロに電話してやれって説教された」
嫁「そう。。。」
嫁も空気を察したのか、短く返事してそれからは何も聞かなかった。
嫁に責任を感じさせるのは違うよな。
ちゃんと話をしておかないと。
八郎「俺も、行けるときはひとりで実家に行こうと思うし」
八郎「オフクロにはたまに電話してやろうかな」
嫁「そうよー、八郎ちゃんお義母さんとの電話、短すぎるよぉ」
これはいつも嫁に怒られていることだ。
オフクロと電話しても俺が
「ハイハイ」と返事するだけですぐに切ってしまうのだ。
これをいつも嫁にとがめられていた。
八郎「。。。そうだな、3分くらいは話すよう、努力目標とさせていただきます」
嫁「3分でも短いよー」
八郎「。。。そうか(苦笑)」
嫁の言葉も頭に入らないくらい
弟のあの一瞬の動揺する姿が
フラッシュバックしていた。
八郎「夕飯でも食いにいくかー」
次男「いいねえ」
三男「どこ行く?どこ行く?」
嫁「えー、あなたたちまだお腹空いてるのー?私もう要らないわよー」
弟嫁の事を聞いた話はすまい。。。
そう思い、この話題を強引に切って
話題を変える事にした。
俺の新しい家の話、今日はここまで。
次回予告
俺の職場で、ちょっとしたブームが起きていた。
そして、そのブームが俺の心の堤防を
少しずつ壊していくことになるのだが
それは、とある「法律の改正」がきっかけになっていた。
お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな!
【★告知★】家づくりをしている方を応援するサイト「コダテル」で八郎のブログが読める!詳細はコチラをクリック!!
画像をクリックすると、最新記事へとジャンプします!
このブログはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。尚、どこかで聞いたことあるような話もあるかもしれませんが、全て筆者の作り話ですので現実になぞらえて考えないようにお願いします。読んで気分が悪くなる方は読むのをお控えください。