建築日記第1話「やっぱりおうちたてようかな」はコチラから!

第10話 オヤジから逃げ続けていた俺

八郎だ(Twitter:@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝する。

      

前回までのあらすじ。

         

オヤジの話をさせてもらった。
2回目の脳梗塞を発症し
どんどん悪くなっていく話だ。

そんな話だったな。

オヤジの話、もう少しさせてくれ。
自分の後悔や懺悔の話も出てくるので
鬱陶しい内容になっているが
今回はこの話をしないと
家づくりの話に進めない。
という事で、今日も宜しく頼む。

                     

それでは、今日も俺の新しい家の話。。。
あらため、俺のオヤジの話を、始めるとしよう。

涙もろくなる父

「高次脳機能障害」は
何も怒りっぽくなっるだけではない。
「感情のコントロールが難しくなる」
という事なので喜怒哀楽
全てに繋がる、という事だ。
その影響はオヤジを怒りっぽくするだけでなく
他の感情にも作用することになる。

        

オヤジは今まで俺に涙を見せたりすることは
1回も無かった。本当に1回も見たことが無い。

       

今の時代、こういう表現は許されないのかもしれないが
俺がガキの頃、親から叱られてピーピー泣くと
決まってオヤジは

「男だろうが!泣くんじゃねぇっ!」

とどやされて、更にピーピー泣いていた記憶がある。
とにかく涙を流すと

「男なんだろ!泣くやつがあるかっ!」

とふたこと目には「男」と言う言葉が出てきて
泣いている俺は全否定された。
今のジェンダーレスやジェンダーフリーが
声高に叫ばれている世の中には
まるでそぐわない話なのかもしれないが
とにかく昔はそんな叱られ方が
割と多くの家庭で見られていたと思う。

      

それを言われると悔しくて
何とか泣き止もうと必死に努力するのだが
更にオヤジから「泣くな!」と被せられると
我慢はもろくも崩壊しまた泣いてしまっていた。

        

この感情って今思えば、何で泣くな!と
父親に言われるとボロボロ泣いてしまうのか?
この疑問は今だに俺の中で解明されていない。
悔しい、という感情が一番近いと思うんだが
しかし悔しいだけで片付けられる
感情論のお話でもないように思う。

       

ひとつ言えるのは
オヤジにはギャンギャン怒られたけど
でもオヤジの事を
嫌いではなかった、と言う感情が
そんな複雑な気持ちに
俺をさせていたのかもなあ
と、思うようにしている。

       

またしても話が飛んでいるので
話を元に戻して。

       

ある日、実家に帰った時に
三男が部活で頑張っている話をした。

       

三男は硬式テニスをしているのだが
最初は同学年の中でヘタクソだったのか
馬鹿にされていたようだが
一生懸命練習をしてレギュラーを獲得し
馬鹿にしていた連中をダブルスで
フォローするほどまでになった
と言う話を披露した。

        

オフクロは

       

オフクロ「そう。。。三男君も頑張ってるのねえ。偉いわねえ」

       

と普通に褒めてくれた。
オヤジは反応が無いのでオヤジの方を向くと
俺は絶句してしまった。

      

オヤジ「(´;ω;`)」

八郎「」

オフクロ「あらあら、お父さん。。。はい、ティッシュ」

        

な、なんだと。。。
俺が今まで生きてきて1回も涙を見せなかったオヤジが
三男の部活の話で号泣だと。。。

       

俺が呆気に取られているのを見て
オフクロが

      

オフクロ「最近、涙もろくなってね。。。」

     

とボソッと呟いた。
オフクロはもうこれが初めてではないらしい。
聞けば新聞のイイハナシダナーを読んでは涙し
テレビのドキュメントを見ては涙しているらしい。
ビバナミダ!岡村靖幸もびっくりである。
俺には初めての現象すぎて
腰を抜かしそうになるくらいビビった。

       

2回目の脳梗塞以来
俺たちの知らないオヤジがどんどん出てきて
俺は正味な話、受け入れがたかった。
それを、40年以上隣で見続けていた
オフクロは、いったいどんな気持ちで
オヤジを受け入れようとしたのだろうか。

ついに徘徊を始めるオヤジ

認知症を発症すると、著名な症状の中に

「徘徊」

があるのだが、オヤジもその例にもれず
徘徊が始まる事となる。

         

最初はオフクロが家を出ており
オヤジが留守番している時に起こった。
何でオヤジをひとりに。。。
という指摘もあるかもしれないが
その時はまだ徘徊と言う現象が起きる前で
オヤジも家の中なら何とか
ひとりで歩行が可能な状態。
オフクロも食材の買い物に出て
1時間にも満たない時間の外出時に
起きたことで、今までも
そのような短時間の買い物の外出時に
オヤジが勝手に外に出る事は無かった。
そんな状況下で起きた事件だった。

        

オフクロが帰ってくると
オヤジがいない事に気が付く。
トイレにも洗面所にもいない。
玄関を再度見ると靴は無くなっている。
慌ててオヤジの携帯を鳴らすと
携帯は置いたまま。。。

       

オフクロの顔から血の気が引く。
慌ててケアマネジャーに相談すると

「捜索願を警察に出しましょう」

ときっぱり言われ、警察に捜索願を出すことに。
しかしそれから30分でオヤジの携帯に電話が。

         

電話主は第三の人生でオヤジが勤めていた職場の人で
事務所に通じる階段の前で
呆然と立ち尽くしているオヤジを見かけ
電話したという。
オヤジは既にその職場は
2回目の脳梗塞が起きた時に
退職をしていた。

       

オヤジ曰く
「気が付いたら事務所の階段の前で呆然としていた」
らしい。どうしてその職場に行こうとしたのかも
覚えていないとのことだった。

       

この日を境に、オヤジの徘徊行動は増えていく。
しかも夜中にいきなり

「本を買いに行く」
「煙草を買いに行く(煙草は50台の時に止めている)」
「散歩に行ってくる」
「会社で仕事を忘れてきた」

と言い出して、着替えを出せと催促するようになる。
オフクロが明日でいいじゃない、今日は遅いから寝ましょう
と言うと、いきなりキレだしてオフクロをなじりだす始末。
「徘徊」と「高次脳機能障害」のコンボである。

        

認知症が進みだすと、運動機能がまだある場合は
この「徘徊」と「高次脳機能障害」の感情の部分で
怒りが出てしまい、見守りをしている
同居の家族が精神的に参る家族が多いと聞くが
我が家もこのパターンにハマることになる。

        

ここから、オヤジの昼夜逆転生活が増えてきて
オフクロもオヤジに夜中に起こされるのはまだいいとして
黙って抜け出そうとすることも増えてきたので
容易に眠れなくなり、疲労は加速的に増えたという。

オヤジから逃げた俺

さて、ここまでオヤジの話を書いてきたのだが
お気づきの事は無いだろうか?
文章に違和感は感じないだろうか?

        

自分の書き方もヘタなので
引っ張らずに告白すると
今まで書いてきたことは1部を除き
殆どが「伝聞系」で書いている、という事だ。

      

つまり、この話は俺が自分の目で見た話ではない
オフクロや弟に聞いて書いている話である、という事だ。
俺は、オヤジが脳梗塞を発症してからのオヤジの面倒を
オフクロと弟に任せていた、というと聞こえがいいが
実のところほぼ「ノータッチ」だった。

         

3か月に1回くらい家族を連れて
実家には帰っていたがそれだけ。
休みの日にオヤジに会いに行ったり
交代でオヤジの様子を見に行ったり
はしなかった。
まあ、ひと言でいえば介護を放棄したクソ長男、である。

       

何でオヤジの面倒を見なかったのか?
実家から車で1時間で行けるのに。。。
まあ弟は実家から15分のところに住んでいて
尚且つ看護士の資格を持っている。
俺が行くより、弟が行った方が遥かに
役に立つのだ、俺が行っても役に立たない。。。

      

そんなのは言い訳にならないか。
正直に言えば。。。

オヤジが衰えていくのを見たくなかった

と言うのがホンネだ。
だから介護や見守りをしない理由に当たらないのは
俺もよく分かっている。

      

しかし、俺にとってのオヤジは

      

オヤジ「バカか!お前はっ!!」

      

となじられるのがデフォルトなのだ。
物心ついたころから殆ど褒められた事も無い。
オフクロから
「お父さんはめったに人を褒めない人なの」
とフォローされたのを、世のオヤジは
人を褒めない人種なんだ、と間違って理解するくらい
オヤジは褒めてくれなかった。

        

別にオヤジに褒めてほしかったとは
それ程思わなかったし
それが俺のオヤジなんだと理解はしていたけど
俺のオヤジはそんな感じで
やさしさをあまり見せない
孤高の存在のようなイメージがあった。
ただ、見た目のやさしさは無かったけど
黙って支えてくれてたりするので
大人になって、あれはオヤジのやさしさだったのか
なんて思う事はあった。

       

俺の中のオヤジはそんなのであって。
よろめきながら歩いたり
OMT履いたり
デイサービスに行ったり
激しく怒ったり泣いたりするオヤジは
俺の中でオヤジと認識できない何かがあった。
認めたくなかった。

       

こうして、そもそも実家に行く頻度が
高くなかった俺が
本当はもっと顔を出さないといけないのに
実家に行く頻度が更に減った。

      

その結果
オフクロや弟に
オヤジの面倒を押し付ける事に
なってしまっていた。

       

俺の新しい家の話。。。
じゃなくて俺のオヤジの話、今日はここまで。

次回予告

さて、正月、実家に久々に大集合した時の話。
変わりゆくオヤジの姿に俺の心は
ついていかないのに、弟から
とあることをぶちかまされてしまい
更に動揺してしまう。

      

誰も、何も言わなかっただけで
家族の溝は確実に深くなっていたのだ。

       

次回「弟、俺の後を強引についてくる」 

お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな!

このブログはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。尚、どこかで聞いたことあるような話もあるかもしれませんが、全て筆者の作り話ですので現実になぞらえて考えないようにお願いします。読んで気分が悪くなる方は読むのをお控えください。

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