建築日記第1話「やっぱりおうちたてようかな」はコチラから!

第5話 マイホームは未来永劫、買う事はございません

八郎だ(Twitter:@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝する。

      

前回までのあらすじ。

        

夫婦で交わした奇妙な約束。
嫁「もう第三子は産まない」
俺「マイホームは買わない」
しかし、俺の女の子を育てたい
という未練を察してくれて
嫁は「第三子は産まない」の約束を解除。
無事、嫁と俺との間に
第三子が産まれる事になった。
。。。三人目も「男」だったが(笑)

             

妊娠する動くこともままならなくなる
憂鬱な思いを振り払って
俺に寄り添ってくれた事に素直に嬉しかった俺は
「マイホームの事は前向きに考える!」
と嫁に伝えるも。それから10年以上の時を経ても
マイホームを買おうという話を俺からすることは無かった。

そんな話だったな。

嫁はまだ、マイホームの夢を諦めきれないのか
購入をしないかという話をしている途中。
果たして今日、この話に決着は訪れるのか?

     

それでは、今日も俺の新しい家の話を、始めるとしよう。

マイホーム、支払いはしんどいし、住設壊れて全部自腹で修理とか無理ゲー

嫁「もう、残された時間は少ないんだよ。。。」

        

嫁はうるんだ瞳で俺に語り掛けてくる。
女性特有の、という表現をしてしまうと
このご時世、叩かれてしまうのかもしれないが
この「女性のうるんだ瞳」に弱い男性は
決して少なくないだろう。

         

結婚して15年経過した今でも
嫁にこの訴えかけをされると
俺もいまだに怯んでしまう。
聞けば、35年ローンを組む限界年齢は
44歳までらしい(※フラット35は45歳まで)。

       

俺の中に、まだ大丈夫。。。
という根拠不明の住宅ローンにおける
セーフティーネットはここに崩壊。
マイホームを買う、という判断を下す場合
あと2年内に動かないといけない
ことになったわけだ。

      

。。。って、いやいやいや
買える訳ないじゃん。
と、考える方向性を修正する。
家買うなんて想定で動いていないから
貯金も僅かしかない訳で。
この時点でもう望み薄だ。

        

住宅ローンを35年より短く組めば
ローンを組める時間の猶予も長くなるかもだが
その分1ヶ月当りの返済金額は多くなる。

       

残念ながら、俺の年収は凡の凡。
1000万プレーヤーなら

八郎「おし、いっちょ買ってやるか!」

くらいの漢気も見せられるものだが
自分の年収という身の丈を知っているだけに
ガチのシミュレーションはしたことないけど
相当苦しくなりそうなのは間違いない。

        

昔から俺がマイホームに否定的なのは
「支払いがしんどい」
というのが大きな理由のひとつだ
とは前にも話した通りだが。

       

更に気になっているのはマイホームになった場合
住宅設備の故障や破損等の修繕費は
「全部自分持ち」であるという事。
これも地味に?派手に?痛いと思わないか?
賃貸の場合、壊れたり調子が悪くなれば
不動産会社に電話すれば
余程の自責でない場合
修繕費用は不動産持ちだ。

      

当然、そのような費用も織り込み済みでの
家賃設定なのだろうが
マイホームを購入した場合
家賃も支払いギリギリの設定で
(▲この考え方が既におかしい)
支払いに苦しみながら、修繕費の準備もしないといけない。
だったら、社宅で安い金額で家を借りながら
お金は家以外の楽しい事に使う。

        

65歳以降は人口も減少に向かい
賃貸などは空き家も多くなり
家を借りる条件(年齢・収入・家賃など)も
緩くなっているはず。
老後、住む家に困る事は無い
と言うのが俺の持論だ。

正社員になって頑張るから

とりあえず、ここは正攻法で攻めるか。俺は

✅そもそも、今の収入ではマイホームの購入は厳しい
✅住宅ローンの支払いは今の社宅の支払いより激しくしんどい
✅マイホームは住宅設備の破損や経年劣化による入れ替えの為の貯金も必要である

という事を嫁に訴えかける事にした。
こういう多額の出費が伴う話には
シビアな現実をチラつかせるに限る。
夢も希望も無いとはこの事だが
そもそも俺はマイホームに夢も希望も抱いていないので
当然といえば当然の説得方法である。

        

俺が、マイホームに関する
夢も希望も無い反対材料の説明をし始めると
嫁は黙って顔を下に向けて聞いていた。
いや、本当は聞いていないのかもしれない。
とにかく、俺が喋っている間
嫁は下を向いたままひと言も喋らなかった。

     

俺が、クソつまらない理由をクドクドと言い終えた後
嫁がゆっくり口を開く。

       

嫁「私、実は考えていることがあって」

八郎「な、なに?」

       

こんな話の最中に「考えていること」なんて言われると
嫌でも身構えざるを得ない。
内容によっては修羅場になってしまうかもしれない。
俺は心の中で、何を言われても
狼狽えない様にしようと覚悟を決める。

      

嫁「実は。。。今の職場の人から『正社員にならないか?』って勧められてるの」

八郎「セ、セイシャイン?サンシャイン?」

嫁「今、私長時間パートで働いてるんだけど」

嫁「もうやってる仕事内容はほぼ社員の仕事だし」

嫁「朝早く出てもらったり、夜遅くまで残ってもらったりしてるから」

嫁「正社員になっても、仕事内容はほぼ一緒で」

嫁「福利厚生も良くなるからどうかって?」

八郎「な、なるほど」

       

嫁にそんな話が来ていたとは。。。
確かにパートという立場ながら家に買っても
パソコンパチパチやっていて
なんてパートを酷使するひでえ会社だとは思ってたけど
その頑張りを評価されているのか。

       

人件費の事を考えると、パートのまま雇った方が
会社的には楽に違いない。
しかし、あえて「正社員として迎えたい」という事は
本当に嫁の働きが、その会社で評価されている
という事なのだろう。

      

嫁「ただ、試験と面接に合格しないとダメなんだけどね(;^_^A」

八郎「そうか。。。」

        

これはハードルが高いかもしれない。
面接は愛嬌で切り抜ける事が出来たとしても
筆記試験は難易度が高いだろう。
嫁もなんだかんだいってもう50歳。
ここから暗記物をするのは
骨が折れる作業だろう。

      

とまあ試験に受かる、受からないという話は良いとして。
そもそも論として、社員待遇になった時には
年収がどれくらいになるのかは
興味が無いわけでもないので
聞いてみる事にする。

      

八郎「正社員になると、年収ってどれくらいになるの?」

嫁「今の長時間のパートだと年収160万くらいなんだけど」

嫁「正社員になると、ボーナスとかも支給されるからなんだかんだで300万くらいになるみたいよ」

八郎「ま、マジかっ!?」

      

すごい、すごいぞ年収約倍増っ!
140万のプラスという事は。。。
仮に住宅ローンを組んだ場合
月々10万円の返済が理論上可能になる。
。。。っていや、これはこれで
ますます家を買わないといけない
流れが出来つつある。

      

しかし、見方を買えれば。。。
嫁が正社員になった「3年分の余剰年収」を
まるまる貯金する事が出来れば
「420万円」が口座に貯まる事になる。
これは。。。

そこそこいい車が買えるんじゃね?

これはこれで、俺にとっても良い話だ。。。
と考えてしまうクズ夫だった。

上から目線に感じて、逆切れに走る

この嫁の「正社員になろうかな」カミングアウトは
マイホームを購入するか否か討論に
結果的に新風を吹き込むことになる。
その新風を嫁も感じたのだろう。
一気呵成と攻めこんできた!

      

嫁「収入面に関しては、私も頑張って正社員になってアシストするよ!」

        

やばいヤバイYABAI。。。
この流れだと、俺も首を縦に振らざるを得ない
空気を作られそうだ。
ここは必死に抵抗を試みないと。。。

      

八郎「でも、嫁ちゃん家にいる時間が減るから。。。家の事とか大丈夫?」

嫁「うん、今よりは勤務時間は増えると思うんだけど」

嫁「もう、三男も高三に今年なるし、子供に時間取られるなんて年齢じゃないよね」

八郎「そ、そうか。。。」

      

なんか全然必死に抵抗できずに
退却している自分が情けなくなってきた。
このままでは本当にマイホームを
検討しないといけない流れに。。。なってしまう!

        

嫁「だから。。。八郎ちゃんも。。。頑張ろう?」

八郎「」

       

は?なんだよ、その「頑張ろう?」って。
なんか俺、頑張ってないみたいじゃん。
確かに薄給だし、全然昇給していないけど
頑張って無いわけじゃないんだけど。。。
なんか、だんだん腹立ってきた。

       

嫁「。。。」

八郎「。。。」

       

またしても、ダイニングを沈黙が支配する。
嫁は次の攻め手を伺っているのだろう。
俺は。。。ムカついてきて無言になってしまっている。

       

そして。。。ついに嫁が動く。

       

嫁「私、信じてるから」

八郎「。。。なにを?」

嫁「あの時、言ってくれたことを」

八郎「」

       

またも嫁は、瞳を潤ませて問いかけてくる。
「あの時言ってくれたこと」
は、間違いなく第三子を出産した後に
俺が嫁に言ったあのひと言だろう。

八郎「俺も、マイホームの事、前向きに考えるよ」

これに違いない。
しかし、今の俺の精神状態では
こんな事言われても、全然素直になれない。むしろ

「私はあなたの為に約束無しにして第三子産んだんだから、あなたも言ったことは守ってよ!」

にしか聞こえない。

      

ブチブチッ
ついに、俺がキレてしまう。

       

八郎「三男を産んでくれたこと、それは感謝する!」

嫁「」

八郎「でも俺はあの時『前向きに考える』と言っただけで」

八郎「『マイホームを買う』とはひと言も言ってない!」

嫁「」

八郎「嫁ちゃんの正社員も、決まった訳じゃないし、机上の空論に過ぎない!」

嫁「」

八郎「今の状況で、マイホームを買う事なんてできないし」

八郎「マイホームは未来永劫。買う事はございませんっ!」

ダンッ!(机をたたく音)

嫁「」

        

。。。やっちまった。
最悪の展開。
マイホームを買う買わないの話で
一番最悪の終わり方だった。
最後は恫喝にも近い
机をこぶしで叩くアクションまでしてしまった。
男ヒエラルキーがあるとすれば
ピラミッドの最下層の部類である。

       

永遠にも思える沈黙がダイニングを包む。
息をする事さえ、容易ではない空気が周囲を支配する。
そして、数分か、十数分か
かなりの時間がたった後に
嫁が身体の奥底から
振り絞る声でこう言った。

       

嫁「八郎ちゃん、ごめんね、もうこの話、絶対にしないようにするね」

八郎「」

        

嫁は、キッチンのシンクに引き込んで
夕飯で使った皿を洗い始めた。
しかし、そこには皿を洗い流す音に加え
鼻をすする音も混じっていた。

       

誰が聞いても、皿を洗いながら
泣いていたのは明白だった。

        

その時、自分もキッチンに行って
「ごめん、今のは言い過ぎた。俺もマイホームについて、真剣に考えるよ」
と言うだけで、嫁の心を
拾い上げる事は出来たかもしれない。

     

しかし、俺はそれをしなかった。
サイテーのクズ夫だった。

嫁は、その話を一切しなくなる

翌日、嫁は見事なまでに普通通りだった。

       

嫁「八郎ちゃん、おはよー」

八郎「ああ、おはよ」

嫁「今日の朝ご飯は八郎ちゃんの大好きなホットサンドだよー」

八郎「あ、ありがと」

         

しかし、そんな明るく振る舞う嫁の顔を見ると
その顔は見事に腫れていた。

      

そして、普通に弁当も作ってくれ
玄関まで送ってくれた。

       

嫁「気を付けて行ってらっしゃーい」

八郎「行ってきます。。。」

        

車に乗り込みながら
嫁は本当に俺と結婚して
幸せな人生だったんだろうか
そんな事を思ってしまい
思わず泣けた。

      

しかし、通勤の途上でマイホームについて
どれだけ前向きに考えようとしても
自分がマイホームを買うという選択肢に
落ち着くことは無かった。

           

そして、この喧嘩を機に
嫁は冗談でもマイホームを買う
という事を言わなくなった。
いや、「マイホーム」という言葉すら出さなくなった。

       

そして、この半年後
嫁は試験と面接に合格し
正社員になる事を
俺も、嫁もこの時は
まだ知らないのであった。

 

俺の新しい家の話、今日はここまで。

次回予告

嫁がマイホームの事を口に出さなくなり
俺はマイホームについて
心に引っかかりを持ったまま
時間は無情に過ぎていく。

       

また無駄話が多くて恐縮だが
次回は俺の実家の話と
俺のオヤジの話をさせてもらいたい。

      

次回「俺の実家は欠陥マンションだった」

お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな!

このブログはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。尚、どこかで聞いたことあるような話もあるかもしれませんが、全て筆者の作り話ですので現実になぞらえて考えないようにお願いします。読んで気分が悪くなる方は読むのをお控えください。

【★告知★】家づくりをしている方を応援するサイト「コダテル」で八郎のブログが読める!詳細はコチラをクリック!!
画像をクリックすると、最新記事へとジャンプします!

       

▼我が家で使用しているおうち関係の商品紹介しています!
▼フォローするとTwitterでブログの更新情報がツイートされます!
▼押してもらえるとブログのヤル気に繋がります!
にほんブログ村 住まいブログ 一戸建 セキスイハイムへ
▼ブックマークはコチラから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。