第34話 Meもshock!?マイホームを取り戻せ!?

八郎だ(Twitter：@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝だ。
この物語は注文住宅について何の知識も無い夫婦が
思い立って注文住宅を建てようとしたら
どうなったのかを描いた「フィクション」だ。
良かったら立ち寄っていただきたい。

　　　　

前回までのあらすじ。

　　　　　　　

嫁の幼少期。
マイホームを売らなければならなかった
壮絶な人生があった事が語られた。

ここから、我が家のマイホームの話は
どのように加速していくのか？

　　　　　　　

それでは、今日も俺の新しい家の話を始めるとしよう。

嫁の長屋ちっくマイホームのその後

嫁「って言う話があったんだぁ。。。」

八郎「へぇ。。。」

嫁「なによー、何か反応薄すぎるよー」

八郎「いやいやいやいや、こんなヘビーな話をいきなり」

八郎「聞かされるなんて思わなかったんで」

八郎「正直、返答に困ったというのが本音だよ」

嫁「そうか(;^_^A」

　　　　　　　　　

幼少時代ビンボーだったんだ
という話は聞いていたいが、その背景に
こんなヘビーな話が介在していたのは
今日初めて聞いた。

　　　　　　　　

八郎「その、子どもの時に手放さないといけなくなった長屋って」

八郎「その後見に行ったりした？」

嫁「うん、したした」

八郎「！！！どんな風になってた？」

嫁「うん、全部取り壊されて、畑とか果樹も無くなっていて」　　　　　　　　

嫁「賃貸アパートになってたね」

八郎「そ、そうか(;´Д｀)」

　　　　　　　　　　

うーん、ある意味想像できる未来ではあったが
嫁の立場から言えば、救いのない未来になってしまった訳だ。
突然、住む場所を追われ、お父さんもお母さんも変わってしまい
文字通り生活も変わってしまった生活を
嫁も受け入れるのに苦労したのではないか。。。

　　　　　　　　

そう考えるとかける言葉も出てこない。

お父さんも友達も恨んでない、恨んでないけど　　　　　　　　　

嫁「私ね、お父さんも、お父さんの友達も」

嫁「別に恨んでないんだ」

八郎「そ、そうか(;´Д｀)」

　　　　　　　

そう言える嫁は強いな、と思った。
普通、恨んで生きていきそうな気がする。
それまでの幸せを
根こそぎ奪われたわけである。
よくもグレなかったな、と思う。

　　　　　　　　　

嫁「父も母も変わらず優しかったし」

嫁「家族のきずな、みたいな物は前より強まったと思うんだ」

　　　　　　　

そういえば、嫁と弟はめちゃくちゃ仲がいい。
電話しても近況報告とか良くしている。
俺と俺の弟の仲とは天地の差だ。
その辺も、幼少時代からの苦労が
そうさせているのだろう。
何となく、理由が分かった気がした。

　　　　　　　

嫁「父が私に言った『罪を憎んで人を憎まず』は」

嫁「今でも覚えているし、これからも忘れない、きっと」

八郎「なるほど。。。」

嫁「でもね、引っかかっている事があって」

八郎「なに？」

嫁「やっぱり、あの長屋の我が家から急に引っ越さないといけなくなったのは」

嫁「すごく心残りなんだ」

八郎「なんで？」

嫁「だって、本当に急にお別れしなきゃいけなくて」

嫁「その日の朝まで朝ごはん食べたりして」

嫁「フツーに暮らしてたんだよ」

嫁「でも、学校から帰ってきたら」

嫁「いきなり引っ越すぞ！ってなって」

嫁「心の準備も出来ないまま、あの家を後にして」

八郎「そ、そりゃあそうだよね」

嫁「普通、引っ越すにしてもカウントダウンみたいなのがあって」

嫁「その日に向けて気持ちの整理をつけていくじゃない」

八郎「確かに」

嫁「でもそんな暇もなくいきなり家を後にしたから」

嫁「気持ちがずっと残っちゃっててね」

マイホームを取り戻せ！？

ここまで聞いて、やっと察しの悪い俺も気が付いた。
嫁がなぜ、マイホームにこだわっているのか？
戸建てにこだわっているのか？
マイホームが夢の積年の夢であるのか、を。

　　　　　　　

嫁「別にね、私が求めているマイホームって」

嫁「鶏も犬もジュウシマツも居なくていいの」

嫁「。。。子どもたちが巣立った後は、何か動物は飼いたい気もするけど」

八郎「。。。」

嫁「別に家の広さにもこだわらない、狭くてもいいんだ」

嫁「畑や果樹もなくていい」

嫁「でもね。。。『じぶんち(自分の家)』を構えて」

嫁「あの時で止まった自分の中の時間を」

嫁「もう1回進めたいなあって、思う事がよくあるんだ」

　　　　　　　　

嫁の中では、長屋風の戸建てと別れてから
心の中の時間が止まっている。
その止まった、そして失われた時を進めたい。
そのカギとして、新しいマイホームが。。。
という流れなのだろう。

　　　　　　　　

嫁「今でも、充分幸せなんだよね」

嫁「それは自分にもいつも言い聞かせていて」

嫁「本当に今の生活に、何も不自由は無くて」

八郎「。。。」

嫁「でも、あの時の事は今でも思い出すと、胸がキュッと締め付けられるような思いになるし」

嫁「夢の中でもあのシーンは出てきて」

嫁「自分はあの時の出来事に、今も『捕らわれている』んだなあって思っちゃうんだ」

八郎「。。。」

今こそ恩返しの時？漢を見せる時？

ここまで話を聞いておいて

　　　　　　　

八郎「そうなんだー、大変だったねー(棒)」

　　　　　　　

とも言えないだろう。
俺と結婚してくれて、最初はイヤと拒まれた
子どもも産んでくれて
嫁にはいろいろな人生の宝や思い出をたくさんもらった。

　　　　　　　　

今度は俺が嫁の恩に報いる番だろう。
マイホームにはいまだに興味は湧かない。
正直、車を買いたいという思いは変わらない。
しかし、自分の伴侶が今でも幼少期のトラウマに苦しんでいる。
それを解放するのに手を貸すのも
夫としてパートナーとしての努めでは無いのか？

　　　　　　　　　　　

生まれて初めて、嫁にこう提案した。

　　　　　　　

八郎「じゃあ、家、建てちゃいますか？」

嫁「」

　　　　　　　　

嫁は驚きのあまりに硬直している。
家の話を今まで散々しても
無視か否定か、酷いリアクションしかしなかったパートナーが
まさかの「家建てちゃいますか？」宣言に
半信半疑の様子である。

　　　　　　　　

八郎「嫁ちゃんにそんな思いがあるなんて知らなかったし」

八郎「今までいろいろ酷いこと言って、ホントごめん」

八郎「まだ。。。遅くないかな？」

嫁「。。。昼間に何か変な物でも食べた？」

八郎「(笑)」

　　　　　　　　

嫁はこの現実を受け入れられないらしい。

　　　　　　　　　

八郎「変なもの食べたかどうかは別として」

八郎「この俺の一瞬かもしれない心変わりを」

八郎「逃さない手はないと思うよ」

嫁「建てるっ！」

八郎「もう長男次男は成人したし、三男も今年高3だし」

八郎「ちょっと遅きに逸した感はあるけど大丈夫？」

嫁「大丈夫っ！それはそれでそういう家にすればいいと思うっ」

八郎「そうか、じゃあこれから、具体的に家づくりの話をしていこうか？」

嫁「これ、ドッキリとかじゃないよね？」

八郎「何言ってんの(笑)ガチだよ」

嫁「隠しカメラとか、どこか仕込んだりしてない？」

八郎「それ、YouTubeか変な番組の見過ぎやね(笑)」

嫁「私、信用していいんだよね？」

八郎「いいよ」

嫁「家、建てていいんだよね？」

八郎「だから、いいってばよ」

嫁「。。。ちゃんと手伝ってくれる？私ひとりで建てろ、とか言わない？」

八郎「言わないよ、打ち合わせも可能な限りついていくし」

八郎「休みを調整してふたりで行けるようにしよう」

嫁「ありがとう！！！」

　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　

もし家づくりを「航海」に例えるとすれば
今までの部分は

「航海」することに決めました

である。これから船を選び、実際に航海を始め
目的地に辿りつくまでに、どのようなドラマが待っているのか
それをまだ、ふたりは知らないのであった。

　　　　　　　　

俺の新しい家の話、今日はこれまで。

次回予告

次回から新章。
いよいよ家づくりの話がスタートだ。
首を長くして待っていた読者
既に脱落した読者など様々だろうが
こんな感じのマイペースで今後も進んでいくので
これからもヨロシク頼む。

　　　　　　

さて、家建てちゃいますかって、簡単に言ってる
楽天家がここにいるが
実際に家を建てるのにいくらかかるか
知っているのだろうか？

　　　　　　　　　　

船出にこぎつける前に頓挫しないといいのだが。。。

　　　　　　　　

次回「家を建てるのにいったい幾らかかるか知ってんの？」

お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな！