八郎だ(Twitter:@eightblog_hachi)
毎日の人も、久々の人も、初めての人も
ここへの訪問に深謝する。
前回までのあらすじ。
弟の話をさせてもらった。
俺の幼いころの障害のせいで
俺にばかり手がかかってしまい
弟には寂しい思いをさせてしまった。
またオフクロが学校に呼び出されて
俺共々謝っている姿を遠巻きに見ていた弟は
反面教師にしたのか、クソマジメな性格になってしまった。
そんなクソマジメな弟も看護師になり、結婚もし
今はちょっと明るくなったんじゃないか。
今回も残念ながら家の話ではない。
俺のオヤジの話をさせてもらいたい。
そろそろ離脱する読者も増えているんじゃないかと思うが
今回は自己満足の物語なので
申し訳ないが書かせてもらう事にする。
ちょっと暗くなる話かもしれないが
読んでくれているお前らにも
起こらないとも限らない話だ。
ひょっとすると、正に今
そう言う状況に直面しているヤツもいるかもしれないな。
まあそんな話もあるよ、と言う感じで
読んでもらえれば幸いだ。
で、もし、自分の身の回りに
このような現象が起きた時は
これからの文章を思い出し
理解と覚悟をもって行動してもらいたい。
それでは、今日も俺の新しい家の話。。。
あらため、俺のオヤジの話を、始めるとしよう。
1月3日は恒例行事のあれだが
2018年1月3日。
今年もこの日がやって来た。
我々兄弟が実家に集う日である。
まあよくある「正月の親戚大集合」と言うヤツだ。
狭い実家の3LDKマンションに
オヤジ・オフクロ・俺と俺の家族
弟と弟の家族が集う。
いささか迷惑と言えば迷惑なイベントかもしれないが
昔のように長屋や母屋のある実家でもない
何の変哲もないマンションになるので
致し方ないと言えばそうなのだ。
しかし、俺は今年はこの会合に
行きたくないと初めて思ってしまった。
弟と仲が悪いから、等と言うつまらない理由ではない。
なぜ、今年、行きたくないと思ってしまったのか。
それは。。。オヤジの「衰え」を目の当たりにするからである。
俺の中のオヤジは、口は悪いけど
孤高で誇り高くて強いイメージしかなかった。
しかし10年近く前の脳梗塞の1件以来
オヤジは徐々に変わっていった。
最初はリハビリにも前向きに行い
金にならない第三の人生の仕事先にも
「リハビリがてら」と本人が言うように
無理のない程度で通っていた。
幸い、最初の脳梗塞では意識や思考関連には
ダメージが及ばなかったようで
業務には全く支障は無かった。
右半身に他所の麻痺が残ったものの
自力歩行も不可能ではなく
何とかこのまま、このまま
オヤジの好きなように
好きな事をさせたあげれたら。。。
そんな俺たちの想いは
2回目の脳梗塞発症で打ち砕かれることとなる。
脳梗塞は何度でも起こる
オヤジが2回目の脳梗塞に見舞われる。
救急車で搬送され病院へ。
俺が病院に駆けつけた時は
血栓を溶かす薬を点滴され
オヤジはベッドで横たわっていた。
オフクロと弟も既に駆けつけていた。
看護師の弟はこうなる可能性がある事を予見していた。
八郎「お前、そんな不吉な事を言うなよ」
と茶化すように言っても弟は眉ひとつ動かさず
弟「そんな不吉とか感情だけで生きていければどれだけ楽な事か。。。」
とチクリとやられた。
これだから真面目君は。。。と言おうとする前に
弟は真面目な顔をしてこう話しだした。
もし、オヤジの様子がちょっとでもおかしいと思えば
すぐに119番通報して、救急車で病院に運んでほしい。
脳梗塞になっていたら、発症から数時間の間に
脳梗塞を起こした血栓を溶かす薬を投与して
血流を再開させることが出来れば
ダメージを最小限に食い止める事が出来るかもしれない、と。
その弟の予見に従ってオフクロは迅速に救急車を呼び
病院では直ちにその血栓を溶かす薬の点滴が始まった。
俺らもダメージが最小限に食いとどめられることを祈った。
しかし、残念ながらダメージは最小限とはならなかった。
右半身の麻痺はひどくなり、顔面にもその影響が残る事に。
そして、何より
オヤジの感情にも影響が出てくることになる。
高次脳機能障害
2回目の脳梗塞時のオヤジの入院は長引いた。
後遺症が酷くなったのがその理由だが
入院が長引くせいか、オヤジがすごくイラつくことが増えた。
最初は看護師に当たり散らしていたが
やがてそのイライラは身内にも及ぶようになった。
普通に歩行の解除をしていても
ややふらつくだけで激昂し出す事もあった。
酷い時は、同じ病室の人と目が合うだけで
「何か文句があるのか!」
とこれまたいきなり激昂し始める事もあった。
今までオヤジにはそんな事は無かったので
オフクロも相当参っているようだった。
この状況を医者に相談してみると
実に冷静な回答が返ってきた。
医者「それは『高次脳機能障害』と言って感情が抑えられなくなる症状です」
医者「脳梗塞の後遺症として『感情が抑えられなくなる』症状が出る事があります」
医者「これは本人が意識している場合も稀にありますが、意識していないケースの方が圧倒的に多いです」
医者「この症状は暫く付き合う必要があります」
暫く、と言う言葉が気になり質問をしてみる事に。
すると医者からは更に無情な回答が返ってきた。
医者「この症状がどれくらい続くのかはわかりません」
医者「この『高次脳機能障害』は脳梗塞などの脳の萎縮による結果、出てくるケースが多く」
医者「これらが『認知症』の初期の段階として出てくるケースも多くみられます」
医者「なので認知症の症状が進めば、このような怒りっぽさや急激な感情の起伏が無くなるケースもあります」
この認知症と言う言葉。
やはり医者から宣告されるとズシリと重い。
「脳血管性認知症」と言う言葉を聞いたことがあるが
オヤジは正にその入り口に立った
という事なのだろうか?
この2回目の脳梗塞で、オヤジを支えていく
先の見えない旅路が始まったことを
オフクロは理解したし覚悟したという。
続くオヤジとその家族への試練
この2回目の脳梗塞を経て
オヤジには乗り越えてもらわないといけない「壁」が発生した。
それは「OMT」つまりオムツである。
この2回目の脳梗塞以降
オヤジは間に合わなくなることが多くなった。
この間に合わなくなる、には
色々な作業や感情が付随する。
まず、オヤジにとって「OMT」は
屈辱以外の何物でもない。
プライド的に受け入れらるものではない。
しかし、そのプライドとは裏腹に
間に合わなかった場合と言うのも
これまたプライドがズタズタになる。
オヤジはこの感情の中で激しく
葛藤することになる。
そして、間に合わなかった時の後処理をする人。
これはこれで肉体的にも精神的にも辛いはずだ。
結局、この結論は
オヤジがOMTを受け入れる事で
終息することになった。
もちろんすんなり受け入れたわけでは無い。
例の感情のコントロールが出来ないで
何度も周囲の人たちに当たり散らしたという。
恐らくオフクロや弟は相当の被害を被った事だろう。
オフクロはあまりにもオヤジが辛く当たるので
何度も泣いたし、何度も言い返そうかと思ったという。
しかし、オフクロは人格者だった。
そんなオヤジを涙こそ流したものの
しっかり受け止め、オヤジに寄り添った。
自分の身体の変化を受け入れなければならない
と言う意味では、オヤジも試練だったと思う。
しかし、一番の試練はオフクロだったはずだ。
自分のパートナーが徐々に変わっていく姿を
受け入れなくてはならない。
高次脳機能障害でオヤジの感情の起伏を
全部受け止めるのもオフクロ。
オフクロは悪くないのに、オヤジの感情次第では
なじられ・どやされる。
そんな相手の「間に合わなかった」時の
後始末をするのもオフクロ。
しかし、オフクロはそれを投げだすことも
逃げる事もせず、全部受け止めた。
今でも愛しているんだとか
好きなんだとか、そんな安っぽい言葉で
表現するのは申し訳ない。
恐らくオヤジの全てを受け入れて
最初は寄り添い、その内介助し
介助で難しくなったら全部支えてあげ
最後はオヤジを全部抱えてあげたんだと思う。
オヤジは俺の中では伝説だ、レジェンドだ。
尊敬してやまない、今なお尊敬している。
しかし、オフクロは神だった。
このオヤジを最後まで支えたオフクロは
本当に神だった。
この「伝説」とか「神」とか
小学生並みの表現力で大変恐縮だが
自分の中で、こんなオヤジとオフクロの間に
産まれた俺は幸せだと心から言える。
俺の新しい家の話。。。
じゃなくて俺のオヤジの話、今日はここまで。
次回予告
オヤジの話が続くが、もう1回だけお付き合いいただきたい。
自分の忘備録的な意味でも書きたいと思う。
そして、身内の誰かがこんな状況になったら
是非思い出していただきたい。
家の話とは関係ないけど
敢えて書かせてもらおう。
いつになったら、俺の新しい家の話始まるのか?(笑)
いや、もうすぐ、始まるから
あと少し待ってくれ。
お前ら、家は「建てたい」と思ったときに建てておくんだな!
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